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たまにしか更新しません。主に宝塚ネタ(さきちゃんか古い話が多い)

「ファントム」閉幕、ありがとう①

「ファントム」が終わってしまった。

「ファントム」を演ると知った昨春からずっと心がざわざわしていたので、ようやく終わった、感がある。
チケットが取れるのであれば、もっと観たかったけれど、本当にチケット難で大変だった。
50枚弱しか出ない当日券を求めて、劇場前に人が二重にも三重にもなっていた。
始発で来れば何とか取れるレベルだったようである。この真冬の始発なんて、凍えてしまいそう。(昨年「ひかふる」の時にやった娘は「命の危険を感じた」と言っていた。)
それでも観たい「ファントム」、それほどに素晴らしい舞台だった、と思う。

エリックについて
今回は歴代の中でも一番精神的に幼さが残るエリックを作っていたと思う。
まるで少年のようだと思うこともあった。レッスンをするカルロッタをからかう時も、初めてクリスティーヌの歌声を聴いた時も、ビストロでの成功の後一人花束を持って佇むところも、少年の一途な想いが出ているように感じた。
大好きなクリスティーヌの声を出なくさせたカルロッタに対し、復讐しようとするのも一途さゆえであったと思う。
森の場面で「顔を見せて」と歌われて、笑い泣きのような表情をするのも初めて優しい言葉をかけられたエリック少年の複雑な思い(=どういう顔をしていいのかわからない)を表しているようだし。
クリスティーヌを追って地上に上がってきたエリックが撃たれて傷つき、隠れているところを発見したキャリエールとの一連の会話から銀橋の歌までは私の好きなポイント。
「この前は悪かった、怒ったりして」から始まり、クリスティーヌのことを「彼女は僕を愛していると思ったんだ」「そんな一瞬なら生きるに値する」というエリックには彼の成長が感じられて。
そこからのキャリエールとの「お前も見たいんだろう?」「もう見たことがあるよ」から始まる焦れったいような会話は、親子であることをスパッとは聞けないエリックと言えないキャリエールがにじり寄っていくような感じで。
ようやくキャリエールが逃げるのではなく、向き合う覚悟を決めて「エーリック♫」と告白する歌を歌い、親子ともに救われる感動の場面。
この後、発見されて立ち回りをする時も、「彼女は僕のものだ」という時も、やはり少年性が強く感じられた。キャリエールに助けを求め、最後に「父さん!」と叫ぶところは、これまで、何人かのエリックを見てきたが一番泣かされたエリックであったと思う。

それにしても、望海さんの歌はすごかった!
元々歌うまであることはわかっているし、ファントムも聴かせてくれるだろうなと期待していたが、期待以上だった。
声量はあるし、声は伸びるし。
すごいなぁと思うのは、もういっぱいいっぱいと思うところからまださらに伸びてビブラートかける余裕があるところ。もう恐れ入るしかありません。

エリックだけで長くなったので、他の方は次回に回します。